人類が掘ったいちばん深い穴は? コラ超深度掘削坑の12,262mと、地球深部探査船「ちきゅう」
答え 真下への深さで世界一の穴は、ロシア北西部のコラ半島にある「コラ超深度掘削坑」の12,262m(1989年)。旧ソ連が科学調査のために掘った穴で、直径はわずか23cm。それでも地球の半径(6,371km)の約0.2%にすぎない。
コラ超深度掘削坑
旧ソ連は1970年、地球の地殻がどうなっているかを直接調べるため、北極圏のコラ半島で穴を掘りはじめた。約20年かけて1989年に12,262mに到達し、人類が掘ったもっとも深い穴になった。
- 穴の太さ:直径約23cm。人が入れる穴ではなく、細い管を通して掘る「ボーリング」の穴だ。
- 熱い底:深くなるほど温度は上がり、底は予想より熱い約180℃に達した。それ以上掘り進めるのは難しくなり、資金不足もあって、1990年代に掘削は終わった。
- 岩の中の化石:地下約6kmの岩から、小さなプランクトンの化石が見つかった。
地球を直径1mのボールにたとえると、コラの穴の深さは約1mm。人類が掘ったいちばん深い穴でも、地球の表面をほんの少しひっかいただけだ。
「長さ」ならもっと長い穴もある
石油や天然ガスの井戸には、地下で向きを変えて横に長く掘り進めるものがある。たとえばカタールのアル・シャヒーン油田の井戸(2008年)は、長さ12,289mとコラより長いが、地表からの深さは約1,387mしかない。真下への深さでは、いまもコラが世界一だ。
海の上から掘る「ちきゅう」
日本の地球深部探査船「ちきゅう」は、海の上から海底を掘る船だ。2024年、宮城県沖で、船の上から7,906m下まで掘りとどき、科学目的の掘削でギネス世界記録に認定された。水深6,897.5mの海底から、さらに980mを掘っている。海の下の地殻はうすいので、海から掘るほうが、マントルに近づきやすい。
人が行ける深さ、生き物がいる深さ
| もの | 深さ | ひとこと |
|---|---|---|
| 世界一深い洞窟(ジョージアのクルベラ洞窟) | 約2,224m | 人が自分の足で降りられる、もっとも深い自然の穴。近くのベリョーフキナ洞窟とは測量の誤差の範囲で、順位が入れかわることがある |
| 世界一深い鉱山(南アフリカのムポネン金鉱山) | 約4km | 岩の温度は約66℃。氷を送りこんで坑道を冷やしながら金を掘っている |
| 悪魔の線虫(ハリケファロブス・メフィスト) | 約1.3km | 南アフリカの金鉱山の地下で見つかった、長さ0.5mmの線虫(2011年) |
| 勇敢な旅人(デスルフォルディス・アウダクスウィアトル) | 約2.8km | 同じく金鉱山の地下水で、たった1種類だけでくらす細菌 |
| 陸の地下の微生物 | 約5kmまで | 地下の生き物をすべて集めると、炭素の重さで人類全体の約250〜400倍と推定されている |
なぜ、もっと深く掘れないのか
いちばんの壁は熱だ。地下は深くなるほど熱くなり、コラでは12kmで約180℃に達した。日本の地下では、深さ4〜5kmほどで、生き物が増えられる限界とされる約120℃に近づく。
さらに深い地殻の底(深さ約35km)では温度は数百℃、圧力は1万気圧に近い。地球の中心(深さ6,371km)は推定5,000〜6,000℃、約360万気圧の世界だ。いまの技術では、地殻の底まで掘ることさえできていない。
人類がまだ誰も、何も届いたことのない場所は、地球のほとんどすべてだ。その中に何があるのかは、地震の波や実験から少しずつ明らかになってきている。