地球の中心は何℃? 温度・圧力・重力と、誰も行けない場所の調べ方
答え 地球の中心は、地表から約6,371kmの深さ。温度は推定5,000〜6,000℃で、太陽の表面と同じくらい熱い。圧力は約360万気圧で、重力はゼロ。そこには、鉄とニッケルでできた固体の球(内核)がある。
地球の中心のデータ
| 項目 | 値 | くらべると |
|---|---|---|
| 深さ | 約6,371km | 東京からハワイ(ホノルル)までの距離(約6,200km)より少し長い |
| 温度 | 推定5,000〜6,000℃ | 太陽の表面(約5,500℃)と同じくらい |
| 圧力 | 約360万気圧 | 1cm²(指先ほど)に約3,700トン、ジャンボジェット機およそ9機分の重さがかかる |
| 重力 | 0 | どの方向にも同じように引っぱられて、つりあう |
| 密度 | 約13g/cm³ | 水の約13倍。地表の岩の約5倍 |
| 物質 | 鉄とニッケルの合金(固体) | まわりの外核は、とけた液体の鉄 |
圧力・重力・密度は、地震の観測からつくられた地球のモデル(PREM)による値。温度は推定値で、研究によって幅がある。
中心では重力がゼロになる
地表では、地球全体が足もとの方向にあるので、真下に引っぱられる。ところが地球の中心では、上下左右のどちらを向いても、同じだけの地球がある。あらゆる方向から同じ強さで引っぱられて打ち消しあい、重力はゼロになる。地球の中心に立てたなら、体はどこにも引っぱられず、ふわりと浮く。
意外なことに、重力がいちばん強いのは地表ではない。重い鉄の核の表面(深さ約2,891km)で、地表の約1.09倍になる。
太陽の表面ほど熱いのに、なぜ固体なのか
中心の鉄は、地上なら一瞬でとけて蒸発する温度にある。それでも固体でいられるのは、圧力が高すぎるからだ。物質は、強く押しつけられるほど原子が動きにくくなり、とけにくくなる。地球の中心のような約360万気圧の世界では、鉄がとける温度は地上の約1,500℃よりずっと高くなり、5,000〜6,000℃でも固体のままでいられる。
そのひとつ外側の外核(深さ2,891〜5,150km)は、圧力が少し低いため、鉄がとけて液体になっている。この液体の鉄がうず巻いて流れることで電流が生まれ、地球の磁場がつくられている。
誰も行けない場所のことが、なぜわかるのか
1. 地震の波でCTスキャンする
大きな地震の揺れ(地震波)は、地球の内部を通りぬけて、反対側まで伝わる。その伝わる速さや道すじは、通りぬけた場所の物質によって変わる。世界中の地震計の記録を組み合わせると、病院のCTスキャンのように地球の中を調べられる。
- 1914年、地震学者グーテンベルクが、深さ約2,900kmに核の表面があることを突きとめた。
- 地震の揺れのうち、S波(横波)は液体の中を伝わらない。地球の反対側にS波が届かない「影」ができることから、外核が液体だとわかった。
- 1936年、デンマークの地震学者インゲ・レーマンが、液体の外核の中に、もうひとつ固い核(内核)があることを見つけた。
2. 地球の中心を実験室でつくる
2つのダイヤモンドの先で小さな試料をはさんで押しつぶし(ダイヤモンドアンビルセル)、レーザーで熱すると、地球の深部と同じ超高圧・超高温をつくれる。そのとき試料に強いX線を当てると、原子の並び方がわかる。
2010年、東京工業大学(現・東京科学大学)の舘野繁彦さん、廣瀬敬さんらは、兵庫県の大型放射光施設SPring-8で、377ギガパスカル(約370万気圧)、5,700K(約5,400℃)という地球の中心に匹敵する条件をつくり、そこでの鉄の結晶の形を確かめた。
2013年には、フランスの研究チームが、内核と外核の境界(約330ギガパスカル)で鉄がとける温度を約6,000℃(誤差±500℃)と見積もった。それまで考えられていたより約1,000℃高い値だった。
3. そのほかの手がかり
- 地球の重さ:地球全体の平均密度は約5.5g/cm³で、地表の岩(約2.7〜3g/cm³)よりずっと重い。中心に重い物質が集まっていると考えると説明がつく。
- ニュートリノ:2011年、岐阜県の神岡鉱山の地下にある観測装置「カムランド」が、地球の中から来るニュートリノをとらえ、地球の内部から出る熱の約半分が、岩の中のウランやトリウムがこわれるときの熱だと明らかにした。
まだわかっていないこと
地球の中心は、今も謎だらけだ。内核は、地球のほかの部分と少しちがう速さで回っているらしい。2023年には、その回転のずれが2009年ごろに止まり、逆向きに転じたかもしれないという研究も発表された。内核がいつ生まれたのか、鉄とニッケル以外にどんな元素がまざっているのかも、まだ決着がついていない。